昨夏に開かれたパリ五輪のフェンシング男子フルーレ団体で金メダルを獲得した松山恭助選手(28)=JTB=が20日、生まれ育った東京都台東区で小中学生向けのフェンシング教室を開いた。
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参加したのは、定員の6倍の応募の中から抽選で選ばれた約40人。松山選手に手ほどきを受けた後、柔らかい素材でできた剣を使った「スマートフェンシング」で試合をするなどして盛り上がった。
会場となった台東リバーサイドスポーツセンターは、松山選手が4歳のとき、初めてフェンシングの剣を持った思い出の場所でもある。当時のクラブは活動を休止。地元の浅草で競技をする環境がなくなってしまったのを残念に思い、パリ五輪後に台東区長に働きかけ、この企画を実現させた。
松山選手は「僕の最大の目標は台東区をフェンシングの街にすることなので、今日だけでなく、ぜひこれからも続けてほしい」と呼びかけた。
この日は子ども同士だけでなく、保護者と子どもの対決もあった。「フェンシングは大人になっても楽しめます。老若男女、誰もが楽しんでくれるのが理想です」と松山選手。
この日の教室は台東区の主催で、今年度は計23回開く予定。次回以降は、五輪などで使う本物の剣を使ってのレッスンが始まるという。
台東区の榎本賢スポーツ振興課長は「金メダリストがこうして地元での競技普及に一役買ってくれるのは本当に感謝です。区としては環境を整備することで貢献していきたい」。海外遠征が多い松山選手だが、「日本にいるときは、できるだけ僕も指導に来たい」と意欲を見せている。